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Incident何が起こったか?
イトリゾールカプセル<イトラコナゾール>の PTP シートが 1 シート 8 カプセルであることに気がつかず、合計 14 カプセルを集薬すべきところ、1 シートと 4 カプセル(8+4 カプセル)だけ切り離して調剤したため、2 カプセル不足していた。
Prescription処方内容は?
<処方1> 80 歳代の女性。病院の内科。オーダ/印字出力。
イトリゾールカプセル 50 mg |
1Cap | 1日1回 | 朝食直後 | 14日分 |
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ノルバスク錠 2.5 mg | 1錠 | 1日1回 | 朝食後 | 14日分 |
ミカルディス錠 20 mg | 1錠 | 1日1回 | 朝食後 | 14日分 |
テノーミン錠 25 mg | 1錠 | 1日1回 | 朝食後 | 14日分 |
リスモダンカプセル 50 mg | 2Cap | 1日2回 | 朝夕食後 | 14日分 |
アスタットクリーム 1% | 20g | 塗布 |
イトリゾールカプセル50 の PTPシートと個装箱の外観(両者で異なる部分に下線)を以下に示す。
(PTPシートの写真:ヤンセンファーマ株式会社ホームページより)
<効能効果>
●イトリゾールカプセル 50(イトラコナゾール)
・内臓真菌症(深在性真菌症)
真菌血症、呼吸器真菌症、消化器真菌症、尿路真菌症、真菌髄膜炎
・深在性皮膚真菌症
スポロトリコーシス、クロモミコーシス
・表在性皮膚真菌症(爪白癬以外)
白 癬:体部白癬、股部白癬、手白癬、足白癬、頭部白癬、ケルスス禿瘡、白癬性毛瘡
カンジダ症:口腔カンジダ症、皮膚カンジダ症、爪カンジダ症、カンジダ性爪囲爪炎、
カンジダ性毛瘡、慢性皮膚粘膜カンジダ症、癜風、マラセチア毛包炎
・爪白癬
Historyどのような経緯で起こったか?
イトリゾールカプセルが在庫切れだったため、医薬品卸に「最小包装」で急配の注文を出した。注文したイトリゾールカプセルが届くのを待って、前述のような調剤を行ってしまった。
幸い、鑑査者が 1 シートが 8 カプセルであることに気づいたため、患者には正しく薬を交付できた。
Worst scenario最悪の事態
イトリゾールカプセルが 2 日分不足し、充分な治療効果が得られない。
Assessment問題点の解析は? 何が問題か?
イトリゾールカプセルの最小包装が 56 カプセル(8 カプセル × 7 シート)であることを知らず、他の多くの医薬品と同様に 100 カプセル(10 カプセル × 10 シート)が最小包装であろうと思い込んでいた。
急いでいたこともあり、届いた医薬品の個装箱をしっかり確認せず、以前に在庫していたイトリゾールカプセル(1 シート 10 カプセル)と同じであると思い込んでしまった。
PTP シートの表面のシート色は相違しているものの、裏面のシート色(シルバー)および文字色(紺)、デザインは両シートとも同一であるため、間違いに気がつきにくかった。更に 8 カプセルシート、10 カプセルシートとも同じ大きさであり、区別がつきにくかった。
Plan問題点回避の計画は? 確認ポイントは?
1 シート 10 カプセル(錠)や 14 カプセル(錠)でないものがあること(今回は 8 カプセル)に注意する。さらに、今回のケースのように同じ薬剤であっても入り数の異なるシートが併売されている場合もあるので、十分に注意する。
Watchword標語は?
1 シートは 10 カプセル(錠)や 14 カプセル(錠)とは限らない!
Special instruction特記事項は?
[イトラコナゾールの薬効薬理など]
イトラコナゾールはトリアゾール系抗真菌薬であり、1980 年にベルギーのヤンセン社で合成された。広範で強い抗真菌活性と優れた組織移行性を有する。国内では 1993 年に承認され、内臓(深在性)真菌症、深在性及び表在性皮膚真菌症の適応を取得し、1999 年には爪真菌症に対する適応が、2004 年には爪白癬に対するパルス療法が承認されている。
作用部位は、真菌の細胞膜の主要構成脂質であるエルゴステロールの生合成酵素(チトクローム P450)である。真菌細胞膜の主要構成物であるエルゴステロールは、その前駆体であるラノステロールのステロイド骨格上の 14α位の脱メチル化反応により生合成される。この脱メチル化反応がチトクローム P450 により誘導される反応であり、イトラコナゾールはこのチトクローム P450 を阻害し、エルゴステロールの生合成反応を阻害する。
イトリゾールカプセル 50 のインタビューフォームより