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Incident何が起こったか?
患者からペンタサ錠の数が足りないと連絡を受けたが、交付したペンタサ錠の錠数に間違いはなく(計数調剤に過誤はなかった)、実は、過少量での処方ミスであった。
Prescription処方内容は?
<処方1> 50 歳代の男性。内科医院。オーダ/印字出力。
ペンタサ錠 500 mg | 2 錠 | 1 日 2 回 | 朝夕食後 | 14 日分 |
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ビオフェルミン錠剤 | 3 錠 | 1 日 3 回 | 毎食後 | 14 日分 |
ペンタサ注腸 1 g | 14 本 | 1 日 1 回 | 夜使用 |
図.「ペンタサ錠 500 mg」の PTP 包装(左)と錠剤(右)。
(杏林製薬株式会社ウェブサイトより)
<効能効果>
●ペンタサ錠 500 mg(メサラジン)
潰瘍性大腸炎(重症を除く)、クローン病
Historyどのような経緯で起こったか?
患者は潰瘍性大腸炎であり、他の地域の病院にて入院加療していた。退院して自宅療養後、職場に復帰したため、職場に近い医院(今回の処方箋を発行した医院)に転院し、当薬局にも初めて来局した。
投薬後、患者からペンタサ錠の数が足りないと連絡を受けた。調剤録や在庫数などを確認したが、交付したペンタサ錠の錠数に間違いはなかった(計数調剤に過誤はなかった)。患者によると、「これまで 1 回に 4 錠飲んでいたのに、28 錠ではすぐになくなってしまう。」(処方は 14 日分であるが 3 日半でなくなる)とのことであった。
患者の訴えを受け、医院の医師に問い合わせた。医師が前の病院からの紹介状を再確認したところ、紹介状の処方欄には手書きで「ペンタサ錠 (500) 8T 2× 朝夕食後」と書いてあったが、「8T」を「2T」と見間違えていたことが判明した。実際の病院からの手書き紹介状(下図)を見てみると、「8」の字の上の○が潰れており、「2」とも読み取れてしまう。
図.紹介状の一部。
処方は「ペンタサ錠 500 mg 8 錠 1 日 2 回 朝夕食後 14 日分」に変更となった。患者本人へ連絡をとり、すぐに不足分の 84 錠を患者宅に届けた。
Worst scenario最悪の事態
ペンタサ錠の充分な効果が得られず、潰瘍性大腸炎が悪化。
Assessment問題点の解析は? 何が問題か?
紹介状の文字はとても小さくて読みにくかったが、医師は患者本人に錠数を確認するなどせず、処方を作成してしまったと考えられる。
薬剤師は、患者からペンタサ錠を以前から服用していたということを聞き取ったため、特に問題ないだろうと判断して、1 回服用量を確認していなかった。また、ペンタサ注腸の使用法の確認と説明の方に気をとられてしまった。
Plan問題点回避の計画は? 確認ポイントは?
用法用量の確認を徹底する。処方量が承認用量の範囲内であったとしても、初来局した患者に対しては、これまで服用していた薬と用法用量が変更になっていないか、投薬時に薬の実物を見せながら確認するなど、注意深く対応する。
患者が転院したり、処方医が変わったりした際には、転記ミスなどによる処方ミスが発生する可能性があることを念頭におく。
Watchword標語は?
・初回に来局した患者、これまでの処方内容と同じか、異なるか確認!
・転院で来局した患者、"紹介状の転記ミス"に注意!
・転記ミスは、転院元、転院先の医療施設で起こる!
Special instruction特記事項は?
ペンタサ錠の潰瘍性大腸炎の成人に対する用法・用量は以下である。
「通常、成人にはメサラジンとして 1 日 1,500 mg を 3 回に分けて食後経口投与するが、寛解期には、必要に応じて 1 日 1 回の投与とすることができる。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1 日 2,250 mg を上限とする。ただし、活動期には、必要に応じて 1 日 4,000 mg を 2 回に分けて投与することができる。」