- 処方チェック
- 一般調剤
- 服薬指導
- その他
Incident何が起こったか?
抗生物質のメイアクト MS 錠が「3 錠 3×毎食後 30 日分」と長期処方されていたため、疑義照会して薬剤と日数を確認したところ、メチコバール細粒の間違いだったことが判明した。
Prescription処方内容は?
<処方1>(前回) 50 歳代の女性。病院の歯科口腔外科。オーダ/印字出力
アデホスコーワ顆粒 10% | 3 包 | 1 日 3 回 | 毎食後 | 30 日分 |
---|---|---|---|---|
メチコバール細粒 0.1% | 3 包 | 1 日 3 回 | 毎食後 | 30 日分 |
<処方2>(今回) 50 歳代の女性。病院の歯科口腔外科。オーダ/印字出力
アデホスコーワ顆粒 10% | 3 包 | 1 日 3 回 | 毎食後 | 30 日分 |
---|---|---|---|---|
メイアクト MS 錠 100 mg | 3 錠 | 1 日 3 回 | 毎食後 | 30 日分 |
メイラックス錠 1 mg | 2 錠 | 1 日 2 回 | 朝夕食後 | 30 日分 |
図.上:「メチコバール細粒 0.1%」の包装(左)と細粒剤(右)。
図.下:「メイアクト MS 錠 100 mg」の包装(左)と錠剤(右)。
<効能効果>
●メチコバール細粒 0.1%(メコバラミン)
末梢性神経障害
●メイアクト MS 錠 100 mg(セフジトレン ピボキシル)
表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、肛門周囲膿瘍、咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、胆嚢炎、胆管炎、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、眼瞼膿瘍、涙嚢炎、麦粒腫、瞼板腺炎、中耳炎、副鼻腔炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎
Historyどのような経緯で起こったか?
メイアクト MS 錠が 30 日分で処方されていたため(処方2)、抗生物質の日数間違いの可能性があると考えた。患者に本日の治療内容、症状等を確認したところ、抜歯はなく、化膿も炎症もないとのことであった。
薬歴では、前回は唇と下あごの痺れに対してメチコバール細粒が追加処方されていたが(処方1)、今回はメチコバール細粒は処方されておらず、抗不安薬のメイラックス錠<ロフラゼプ酸エチル>が新たに追加されていた(処方2)。
医師に疑義照会したところ、メイアクト MS 錠をメチコバール細粒と間違えて処方してしまったとのことだった。処方は「メチコバール細粒 0.1% 3 包 3×毎食後 30 日分」に変更となった。
Worst scenario最悪の事態
メイアクト MS 錠の長期投与で肝機能障害などの重大な副作用が惹起する。
Assessment問題点の解析は? 何が問題か?
医師は、オーダリングシステムでメイラックス錠 1 mg を新たに入力しようとした。その時、間違ってメチコバール細粒 0.1% を消去してしまったことに気がついて、再度入力しようとしたが、メイラックス錠の上部に表示されていたメイアクト MS 錠 100 mg を誤選択してしまった。
メイアクト MS 小児用細粒 10%
メイアクト MS 錠 100 mg
メイエストン錠 25
メイラックス細粒 1%
メイラックス錠 1 mg
メイラックス錠 2 mg
メインテート錠 0.625 mg
メインテート錠 2.5 mg
メインテート錠 5 mg
メインベート軟膏 0.1%
メインベートクリーム 0.1%
メインベートローション 0.1%
メチコバール細粒もメイアクト MS 錠も、医師にとって処方頻度が高い薬剤であり、混乱してしまった可能性も考えられる。更に、薬名の頭部 1 文字「メ」が同じである。
Plan問題点回避の計画は? 確認ポイントは?
本例のように、歯科で処方される頻度が多いメイアクト MS 錠やメチコバール細粒などの薬剤であっても、患者に症状や治療内容を可能な限り確認するようにする。
抗生物質の長期投与の場合は、確実に日数の医師に確認をする。
Watchword標語は?
・患者に症状と治療内容を聴取!
・抗生物質の長期処方は疑義照会!
Special instruction特記事項は?
歯科領域でよく処方される抗生物質の医薬品を表に示す。
表.歯科でよく処方される抗生物質の医薬品名リスト
一般名 | 商品名 |
---|---|
クラリスロマイシン |
<先発品> クラリシッド クラリス <後発品> クラロイシン マインベース クラリスロマイシン「メーカー名」 <配合剤> ランサップ ラベキュア ボノサップ |
アジスロマイシン |
<先発品> ジスロマック <後発品> アジスロマイシン「メーカー名」 |
アモキシシリン |
<先発品> サワシリン パセトシン <後発品> アモリン ワイドシリン アモキシシリン「メーカー名」 <配合剤> オーグメンチン クラバモックス ランサップ ランピオン ラベキュア ラベファイン ボノサップ ボノピオン |
セフカペンピボキシル |
<先発品> フロモックス <後発品> セフカペンピボキシル塩酸塩「メーカー名」 |