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- 服薬指導
- その他
Incident何が起こったか?
ペントキシベリンクエン酸塩錠「JG」の PTP シートを見た患者は、クラリス錠 200 と間違いそうだと不安になった。
Prescription処方内容は?
<処方1> 70 歳代の女性。病院の内科。オーダ/印字出力。
ムコソルバン錠 15 mg | 3 錠 | 1日3回 | 毎食後 | 7日分 |
---|---|---|---|---|
トクレススパンスール カプセル30mg |
3 Cap | 1日3回 | 毎食後 | 7日分 |
クラリス錠 200 | 2 錠 | 1日2回 | 朝夕食後 | 7日分 |
他の処方薬は省略 |
<処方2>
ムコソルバン錠 15 mg | 3 錠 | 1日3回 | 毎食後 | 7日分 |
---|---|---|---|---|
ペントキシベリンクエン 酸塩錠 30 mg「JG」 |
3 錠 | 1日3回 | 毎食後 | 7日分 |
クラリス錠 200 | 2 錠 | 1日2回 | 朝夕食後 | 7日分 |
他の処方薬は省略 |
図1.クラリス錠 200 の PTP シート(上左)、ペントキシベリンクエン酸塩錠 30mg「JG」の PTP シート(上右)、トクレススパンスールカプセル 30 mg の PTPシート(下)
<効能効果>
●ペントキシベリンクエン酸塩錠 30 mg「JG」、トクレススパンスールカプセル30 mg(ペントキシベリンクエン酸塩)
下記疾患に伴う咳嗽
感冒、喘息性(様)気管支炎、気管支喘息、急性気管支炎、慢性気管支炎、
肺結核、上気道炎(咽喉頭炎、鼻カタル)
●クラリス錠 200(クラリスロマイシン)
1. 一般感染症
表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、
外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肛門周囲膿瘍、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、
急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染、尿道炎、子宮頸
管炎、感染性腸炎、中耳炎、副鼻腔炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎
2. 非結核性抗酸菌症
マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症を含む非結核性抗酸菌症
3. ヘリコバクター・ピロリ感染症
胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃 MALT リンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、
早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃におけるヘリコバクター・ピロリ感染症、
ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎
Historyどのような経緯で起こったか?
以前から処方されていたトクレススパンスールカプセル 30 mg<処方1>が飲みにくいということで、今回からジェネリック医薬品のペントキシベリンクエン酸塩錠 30 mg「JG」に変更となった<処方2>。薬剤師は、カプセル剤から錠剤へ変更になったことなどを説明して交付した。
患者は、自宅へ帰ってクラリス錠とペントキシベリンクエン酸塩錠「JG」を見比べたところよく似ているので、飲み間違うのではないかと心配になった。電話にて「同じものを 2 個飲みそうだ。」と薬剤師に連絡した。ペントキシベリンクエン酸塩錠 30 mg「JG」の PTP シートの表面には「鎮咳剤」と記載されているが、患者は目が不自由なこともあり、よく認識できなかった。
患者宅が薬局から近いこともあり、薬剤師は仕事を終えたあとに訪問した。そこで、ペントキシベリンクエン酸塩錠 30 mg「JG」の PTP シートの裏にマジックで「咳止め」と大きく記入したところ、患者は安心したようであった。
Worst scenario最悪の事態
一方を間違って 2 倍量服用して副作用発現、他方を間違って服用せずに治療効果不十分に至る。
Assessment問題点の解析は? 何が問題か?
薬剤師は、ペントキシベリンクエン酸塩錠「JG」とクラリス錠の PTP シートが比較的類似していることに気がつかず、そのまま交付していた。薬剤師にとっては大きく類似しているとは考えられなかった。しかし、今まではトクレススパンスールカプセルであり、クラリス錠とは大きな違いがあったため、患者にとっては強い類似性を感じたものと思われる。
クラリス錠は錠剤に「クラリス」と薬名が印字されており、ペントキシベリンクエン酸塩錠「JG」と区別可能である。しかし、高齢の患者は、錠剤の印字による違いを認識し難いと思われる。
Plan問題点回避の計画は? 確認ポイントは?
薬剤師は、外観類似品のリストを作成し、外観の似た医薬品を認識しておく必要がある。
服薬指導時に、薬袋から薬剤を取り出して患者に見せ、類似性していた間違い易い薬剤を発見してもらう。区別が付きにくい PTP シートがあれば、今回のように、裏面に薬名、効能などを大きく記載する。
Communication服薬指導は?
『今回から、これまで飲みにくかったカプセル剤が錠剤へ変更となりました。念のために、今回のお薬を確認致しましょう。どうですか、混乱しそうな薬はありますか?・・・・「暫くして」・・・そうですか、この薬(ペントキシベリンクエン酸塩錠「JG」)とこの薬(クラリス錠)が良く似ていて飲み間違えそうなのですね。それでは、こちらの薬には裏面にマジックで「咳止め」と大きく記入しておきますね。』
Special instruction特記事項は?
以前、クラリス錠 200 とリーマス錠 200(図2の左)の包装類似による調剤ミスの報告があった。確かに図1のクラリス錠 200 とよく類似していた。しかし、リーマス錠 200 の包装変更がおこなわれ(図2の右)、クラリス錠 200 との類似性はかなり低下した。
図2.リーマス錠 100・200、バーコード表示および包装変更のお知らせ
(2014 年 9 月、大正富山医薬品株式会社)