皆さん、こんにちは!
今回は慢性咳嗽の最新治療薬であるゲーファピキサントについてお話したいと思います。
2022年4月21日、慢性咳嗽治療薬のゲーファピキサントクエン酸塩(商品名リフヌア錠45mg)が新発売されました。
適応は「難治性の慢性咳嗽」、用法用量は「通常、成人にはゲーファピキサントとして1回45mgを1日2回経口投与する。」となっています。
条件としましては、最新のガイドライン等を参考に、慢性咳嗽の原因となる病歴、職業、環境要因、臨床検査結果等を含めた包括的な診断に基づく十分な治療を行っても咳嗽が継続する場合に使用を考慮することとされています。
ということは、その診断に至るまでの十分な診断努力と治療努力が必要になります。
レセプトにも難治性の慢性咳嗽と診断した理由を記載することが求められており、当面は主に呼吸器専門医のもとで採用されると予想されます。
ここで改めて「慢性咳嗽」とはどういったものかといいますと、精査で原因が不明で、最新の診療ガイドラインにしたがって専門家の指導のもとで行う治療トライアルを行っても8週間以上持続する咳のことを言います。
難治性の慢性咳嗽は、有効な治療法は確立されておらず、長期にわたる咳嗽の継続が患者の肉体的・精神的苦痛など日常生活におけるQOL低下を引き起こしていることが問題となっています。
基本的に、原因疾患によらない非特異的な咳嗽治療薬として中枢性鎮咳薬(麻薬性のコデインリン酸塩水和物や、非麻薬性のデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物など)を中心として、小青竜湯などの漢方薬を含めた末梢性鎮咳薬なども臨床使用されていますが、中枢性鎮咳薬は生体防御機構としての咳も抑制すること、便秘や眠気などの有害事象の頻度が高いなどの問題から使用対象患者に制限があります。
咳嗽の発生機序は、気道の炎症条件下で気道粘膜細胞からATPが放出され、この細胞外ATPが気道の迷走神経のC線維上に発現しているATP依存性チャネルであるP2X3受容体へ結合することで、C線維による侵害シグナルとして感知され、咳嗽反射が引き起こされることが示唆されています。
(※咳の発生機序は全て解明できているわけではありません)
新発売されたゲーファピキサント(リフヌア)は、P2X3受容体を介した細胞外ATPシグナル伝達の遮断により、感覚神経の活性化および咳嗽を抑制する、世界初となる選択的P2X3受容体拮抗薬として、多方面から非常に期待されています。
一方で、問題点もあります。
それは特に「味覚関連」の副作用です。
味覚関連の副作用(味覚不全、味覚消失、味覚減退、味覚障害)の発現割合は63.1%とされており、高頻度といえます。
せっかく慢性咳嗽改善によってQOLを改善できたと思っても、味覚異常によりQOLが悪化しては期待通りとはいえません。
これからの1~2年でどれだけの満足度を患者さんに感じて頂けるか・・・今後の動向に注目したいと思います。
今回は以上ですが、薬学生の皆様は慢性咳嗽及びゲーファピキサントについていかがお考えでしょうか?
是非参考にして下さい!
メディセレ薬局 管理薬剤師 密原 将志