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メディセレ薬局 現場からの声

慢性腎臓病の最新治療薬フィネレノンについて

皆さん、こんにちは!
今回は慢性腎臓病(以下CKD)の最新治療薬であるフィネレノンについてお話したいと思います。
2022年3月28日、慢性腎臓病(CKD)治療薬のフィネレノン(商品名ケレンディア錠10mg、同錠20mg)の製造販売が承認され、6月2日に新発売されました。
適応は「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(末期腎不全または透析施行中の患者を除く)」、用法用量は「eGFR 60mL/分/1.73m2以上:1日1回20mgを投与。
eGFR 60mL/分/1.73m2未満:1日1回10mgから開始し、血清カリウム値、eGFRに応じて、投与開始から4週間後を目安に20mgに増量する」となっています。
さらに、投与開始又は再開、増量から4週間後、その後も定期的に血清カリウム値及びeGFRを測定し、以下に従って用量を調節することとされています。

血清カリウム値が
・4.8(mEq/L)以下の場合:20mg1日1回の場合は維持、10mg1日1回の場合は20mg
1日1回に増量(ただし、eGFRが前回測定から30%を超えて低下していない場合に限る。)
・4.8超5.5(mEq/L)以下の場合:現状の用量を維持
・5.5超(mEq/L)の場合:中止
※投与中止後、血清カリウム値が5.0mEq/L以下に下がった場合には、10mgを1日1回
から投与を再開することができる。

CKDは腎障害や腎機能の低下が持続する疾患で、血圧などの血行動態、血糖コントロール不良などの代謝に加え、炎症や線維化が要因とされています。
CKDに対する既存薬のうち、ACE阻害薬、ARBは主に代謝および血行動態に関する因子を標的としており、SGLT2阻害薬は血糖改善や尿細管糸球体フィードバックによる糸球体過剰濾過の改善等により腎保護作用を示すと考えられています。
しかし、炎症や線維化を標的とする治療薬は承認されていないのが現状でした。
腎臓における炎症や線維化には、ミネラルコルチコイド受容体(MR)の過剰活性化が重要な役割を果たしていることが解明されています。
MRは主に腎尿細管上皮細胞において電解質の貯留・排泄の調整をつかさどり、さらに尿細管以外の腎糸球体、心臓、血管など全身にも広く分布していることから、MRの過剰活性化により腎臓や心血管系において、炎症、線維化、ナトリウム貯留や臓器肥大が生じることが明らかになってきました。
フィネレノンは、炎症および線維化を引き起こすMRの過剰活性化を抑えることで、心血管・腎臓障害を抑制する、非ステロイド型選択的MR拮抗薬となります。
既存のMR拮抗薬としては、スピロノラクトン(アルダクトンA他)、エプレレノン(セララ)、エサキセレノン(ミネブロ)が「高血圧症」などの適応で臨床使用されていますが、CKDの適応はありません。
よって、フィネレノンは初の2型糖尿病を合併するCKDに適応があるMR拮抗薬となり、今後の活躍が期待されますね。

今回は以上ですが、薬学生の皆様は2型糖尿病を合併するCKD及びフィネレノンについていかがお考えでしょうか?
是非参考にして下さい!

メディセレ薬局 管理薬剤師 密原 将志

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