皆さん、こんにちは!今回は新規高尿酸血症治療である「ユリス」が発売されましたのでそのお話をしたいと思います。
高尿酸血症、いわゆる痛風ですね。
痛風とは体内の尿酸(いわゆる老廃物)が過剰になった状態が続き、足の関節などに尿酸の結晶が沈着して、関節に激しい炎症が急激に発症する病気のことで、高尿酸血症とは、血液中の尿酸の濃度を示した血清尿酸値が、7.0mg/dLを超えている状態と定義されています。
高尿酸血症は持続すると痛風関節炎(痛風)をもたらしてQOLの低下を招きます。
また高尿酸血症は、痛風だけでなく腎障害や心血管イベントの発症と関連する可能性も示唆されつつあるため、痛風、高尿酸血症患者における血清尿酸値の低下は重要です。
痛風、高尿酸血症の治療においては、生活習慣の是正を原則に、薬物療法もまた重要な位置を占めています。
痛風・高尿酸血症の治療薬には、主に「尿酸の生成を抑える薬」と「尿酸の排泄を促す薬」が用いられ、その他にも尿酸分解酵素薬、アシドーシス治療薬、痛風発作治療薬などがあります。
「尿酸の生成を抑える薬」にはアロプリノール(ザイロリック)、フェブキソスタット(フェブリク)、トピロキソスタット(ウリアデック、トピロリック)があり、「尿酸の排泄を促す薬」にはプロベネシド(ベネシッド)、ベンズブロマロン(ユリノーム)があります。
今回取り上げます「ユリス」は後者のほうに該当します。
ユリス錠(一般名:ドチヌラド)は近位尿細管に存在する「尿酸トランスポーター1(URAT1)」と呼ばれるトランスポーターを選択的に阻害し、さらにユリノームなどの肝障害の原因と考えられるミトコンドリア毒性やCYP2C9阻害による薬物相互作用の少ない薬剤となります。
生成された尿酸のほとんどは腎臓を介して尿中から排泄されますが、一部はURAT1によって血中(体内)に再吸収されたり、ABCG2、OAT1、OAT3を介した(これらも近位尿細管にあります)尿酸分泌経路から排泄されます。
まとめるとユリスの特徴(他の薬剤と比較して)は下記のようになります。
① 尿酸再吸収経路URAT1阻害の選択性が高い
② 尿酸分泌経路ABCG2、OAT1、OAT3は阻害しない(腎臓負担が減る)
近年はフェブリクのような尿酸生成抑制薬で事足りている報告も多く、尿酸排泄促進薬による尿路結石のリスク(その場合は尿アルカリ化薬を併用する)もありますが、
① 尿酸生成抑制薬で効果不十分な場合に少量併用か切り替え
② 肝障害を出したくない場合
③ 腎機能が低下しているけど使いたい場合
上記のようなケースで「ユリス」は有益ではないでしょうか?
高尿酸血症で悩まれている患者さんも数多くいます。
その中で薬剤の選択肢が増える事はとても良いことだと思います。
就職後、既存薬で治療が不十分な患者さんがおられましたら、一度医師にご提案してみるのも良いかもしれません。
ご参考下さい。
メディセレ薬局 管理薬剤師 密原 将志