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東大客員教授 澤田先生のリスマネ道場

RISK MANEGAMENT
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2019.02.25 UP
CASE33

《朝の一包化薬が検査で飲めなかったが、本当は飲めたかもしれない》

  • 処方チェック
  • 一般調剤
  • 服薬指導
  • その他

Incident何が起こったか?

患者は病院で朝一番に検査があったため、家族は患者に朝食後の薬を服用させていなかった。また、検査終了後に迎えに来たデイサービスのスタッフには、いつも通り昼食後の薬しか渡さなかった。そのため、朝食後の薬が服用できなかった。

Prescription処方内容は?

<処方> 80 歳代の女性。内科病院。オーダ/印字出力。

1) ラシックス錠 40 mg 1錠      
  アルダクトン A 錠 25 mg 1錠      
  バイアスピリン錠 100 mg 1錠 1日1回 朝食後 14 日分
2) ガスター錠 20 mg 2錠      
  ニトロール R カプセル 20 mg 2Cp 1日2回 朝夕食後 14 日分
3) ノイキノン錠 10 mg 3錠      
  セルベックスカプセル 50 mg 3Cp 1日3回 毎食後 14 日分
4) プルゼニド錠 12 mg 2錠      
  レンドルミン錠 0.25 mg 1錠 1日1回 就寝前 14 日分
    以上、一包化    
5) フランドルテープ 40 mg 14 枚 1回1枚 貼付  

図.上記処方を一包化調剤した分包。朝・昼・夕に服用するようになっている分。

<効能効果>
●ラシックス錠 10 mg・20 mg・40 mg、細粒 4%(フロセミド)
高血圧症(本態性、腎性等)、悪性高血圧、心性浮腫(うっ血性心不全)、腎性浮腫、肝性浮腫、月経前緊張症、末梢血管障害による浮腫、尿路結石排出促進
●アルダクトン A 錠 25 mg・50 mg、細粒 10%(スピロノラクトン)
高血圧症(本態性、腎性等)
心性浮腫(うっ血性心不全)、腎性浮腫、肝性浮腫、特発性浮腫、悪性腫瘍に伴う浮腫及び腹水、栄養失調性浮腫
原発性アルドステロン症の診断及び症状の改善
●バイアスピリン錠 100 ㎎(アスピリン)
・下記疾患における血栓・塞栓形成の抑制
 狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)
 心筋梗塞
 虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞)
・冠動脈バイパス術(CABG)あるいは経皮経管冠動脈形成術(PTCA)施行後における血栓・塞栓形成の抑制
・川崎病(川崎病による心血管後遺症を含む)
●ガスター錠 10 mg・20 mg、D 錠 10 mg・20 mg、散 2%・10%(ファモチジン)
・胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、上部消化管出血(消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍、出血性胃炎による)、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison 症候群
・下記疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善
 急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期
●ニトロール R カプセル 20 mg(硝酸イソソルビド)
狭心症、心筋梗塞(急性期を除く)、その他の虚血性心疾患

Historyどのような経緯で起こったか?

患者の家族が薬局に処方せんを持参した際、「今日は検査(内容は不明)があったので、朝食後の薬は飲ませられなかった。デイサービスのお迎えのスタッフには昼食後の薬(ノイキノン錠とセルベックスカプセル)をお願いしてきた。」と述べた。
実際には、検査は9時半頃には終わっていた。処方内容をみると、朝の薬の中には、検査後直ぐに軽い食事をとって、もしくはお昼近くであっても服用した方がよかったと考えられるものが含まれていた。

Worst scenario最悪の事態

血圧が上昇し、更に狭心症などにおける血栓・塞栓形成、消化器潰瘍の悪化。

Assessment問題点の解析は? 何が問題か?

患者やその家族に、薬を飲み忘れた時や、今回のように検査などで飲めなかった時の対処法を伝えていなかった。

Plan問題点回避の計画は? 確認ポイントは?

薬を飲み忘れた時、飲めなかった時の対処法を患者が理解しているかどうか、確認と指導を徹底する。疾患コントールに重要な医薬品(本事例では朝食後服用のラシックス錠、アルダクトン A 錠、バイアスピリン錠、ガスター錠、ニトロール R カプセル)を服用中の患者においては、とりわけ注意が必要である。

Communication服薬指導は?

『患者の家族へ:患者さんは、明日、検査を受けられるのですね。朝、食事を摂らず、朝の薬は服用しないで病院へ行かれるのですね。その時は、念のために、必ず朝服用する薬も持参してください。その時、医師に相談して、その薬を検査が終わったあとに服用するかどうか相談してください。』

Special instruction特記事項は?

飲み忘れたときの一般的な対処法
・飲み忘れに気づいたのが、本来服用すべき時間からあまりたっていなければ、すぐに服用する。
・飲み忘れに気づいたのが、次に服用すべき時間に近ければ、忘れた分はとばす。
・絶対に、2回分をまとめて一度に飲まない(飲んではいけない)。
・以上はあくまで一般的な対処法であり、薬によっては対応が違ってくるので、医師や薬剤師に相談するように指導する。

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