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患者はインテバンクリームの使い残しを薬の引き出しに入れており、"虫さされのかゆみ止め"として使用していた。

＜処方１＞　80 歳代の女性。診療所の循環器科。オーダ/印字出力。

図.「インテバンクリーム 1%」の包装（左）と製剤（右）。

（帝國製薬株式会社ウェブサイトより）

＜効能効果＞
●インテバンクリーム 1%（インドメタシン）
　下記疾患並びに症状の鎮痛・消炎
　変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、
　上腕骨上顆炎（テニス肘等）、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛

患者は膝に痛みがあり、いつもの定期薬と一緒に痛み止めのクリームが処方された。薬剤師は、痛み止めの成分が皮膚から吸収されて効く薬であることを説明して、外用の薬袋に入れて投薬した。患者は痛みがある間はインテバンクリームを塗っていたが、痛みが治まると使用をやめて、残った薬はもったいないのでそのまま薬の引き出しに入れていた。その際、嵩張るので薬袋は捨ててしまい、薬袋から出した薬だけを入れていた。
数カ月後の受診時に、患者は「虫に刺されてかゆかったので、いつかもらった塗り薬を使った。」と薬剤師に話した。薬を見せて確かめると、インテバンクリームをかゆいところに塗っていたことが判明した（効果があったかどうかは不明）。

虫に刺された部位の悪化。

塗り薬の薬袋を捨ててしまっていたので、患者は何の薬かわからなかった。また、写真入りの薬情を渡してあったが、患者は使う前に確認しなかった。
患者は、塗り薬はかゆみや湿疹など皮膚の症状に使うもので、効くと思い込んでいた。また、添加物として l-メントールが含まれており、塗布部位が何となくすっきりした感触になった。

残薬は自己判断で使用しないよう注意喚起する。
薬袋だけではなく、軟膏やクリームのチューブにも用法を記載したシールを貼る。また、お薬手帳だけではなく、写真入りの薬情も保存して活用するように指導する。
高齢で薬の管理に不自由がある患者には、可能であれば専用の薬情用のファイルを用意して、患者にお薬手帳と一緒に持ってきてもらい、薬剤師が投薬時に薬情をファイルして、説明しながら交付することも検討する。

『このインテバンクリームは、関節症、筋肉痛、外傷後の腫れや痛みに効果がある薬です。他の目的、例えば、痒みとか、肌のかさつきなどには使用しないでください。このクリームには、そのような治療目的の成分は入っていませんので注意してください。それから、薬情用のファイルを用意しますので、時々それを見てチェックしてくださいね。』

図．インテバンクリーム 1% のくすりのしおり（患者用使用説明書）の一部。

（くすりの適正使用協議会ウェブサイトより）