- 処方チェック
- 一般調剤
- 服薬指導
- その他
Incident何が起こったか?
点眼薬が交付された次の来局時、患者は「お薬手帳にはどちらも 5mL と書いてあるのに、片方は2本で、もう片方は1本しかもらわなかったけどどうしてか?」と不審そうに尋ねた。
Prescription処方内容は?
<処方1> 70 歳代の男性。診療所の眼科。オーダ/印字出力。
クラビット点眼液 0.5% | 5mL | 1日4回 | 両目に点眼 |
---|---|---|---|
チモプトール XE 点眼液 0.5% | 5mL | 1日1回 | 右目に点眼 |
図.クラビット点眼液 0.5%(5mL)とチモプトール XE 点眼液 0.5%(2.5mL)の外観
(クラビット点眼液のボトル高さ:約 57mm、直径:約 20mm、チモプトール XE 点眼液のボトル高さ:約 51mm、直径:約 20mm)
<効能効果>
●クラビット点眼液 0.5%(レボフロキサシン水和物)
眼瞼炎、涙嚢炎、麦粒腫、結膜炎、瞼板腺炎、
角膜炎(角膜潰瘍を含む)、眼科周術期の無菌化療法
●チモプトール XE点眼液 0.5%(持続性チモロールマレイン酸塩)
緑内障、高眼圧症
Historyどのような経緯で起こったか?
お薬手帳には次のように記載されていた。
クラビット点眼液 0.5% | 5mL | 1日4回 | 両目に点眼 |
---|---|---|---|
チモプトール XE 点眼液 0.5% | 5mL | 1日1回 | 右目に点眼 |
Worst scenario最悪の事態
チモプトール XE 点眼液が足りなくなることで不安となる。
Assessment問題点の解析は? 何が問題か?
クラビット点眼液は1本 5mL であるが、チモプトール XE 点眼液は1本 2.5mL である。従って、患者に手渡される本数はクラビット点眼液1本とチモプトール XE 点眼液2本となるが、お薬手帳が mL 表記のため患者に実際の本数が伝わらなかった。
写真に示すように、点眼液自体に1本の容量は記載されている。しかし、字が小さくて患者の目に入らない可能性がある。更に、両点眼液の容量は相違しているものの、本体の大きさには大きな違いがない点も、患者が混乱した要因であろう。
Plan問題点回避の計画は? 確認ポイントは?
薬剤師は、投薬時にお薬手帳を患者と共に確認し、患者が十分に記載内容を理解していることを確認する。
患者の理解が十分でなかった場合は、お薬手帳の mL 表記の前か後に実際に交付される本数を書き添えるなど、さらに説明と必要な書き加えを行う(下線部分)。
クラビット点眼液 0.5% | (1本) 全 5mL | 1日4回 | 両目に点眼 |
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チモプトール XE 点眼液 0.5% | (2本) 全 5mL | 1日1回 | 右目に点眼 |
Communication服薬指導は?
『こちらのクラビット点眼液は全量で 5mL ですが、1本に 5mL 入っていますので1本、チモプトール XE 点眼液は全量で 5mL ですが、1本に 2.5mL 入っていますので2本お出しします。』
Special instruction特記事項は?
[クラビット点眼液の薬効薬理など]
主な作用機序は DNA ジャイレース(トポイソメラーゼⅡ)活性およびトポイソメラーゼⅣ活性の阻害による細菌の DNA 合成阻害である。DNA ジャイレース(トポイソメラーゼⅡ)活性とトポイソメラーゼⅣ活性のどちらを強く阻害するかは細菌によって異なる。MIC(最小発育阻止濃度)と MBC(最小殺菌濃度)に大きな差異は認められず、その作用は殺菌的である。哺乳動物細胞のトポイソメラーゼⅡに対する阻害活性は、細菌の DNA ジャイレース(トポイソメラーゼⅡ)阻害活性およびトポイソメラーゼⅣ阻害活性よりはるかに弱いことが認められている。
クラビット点眼液のインタビューフォームを一部改変
[チモプトール XE 点眼液の薬効薬理など]
チモロールマレイン酸塩は眼部交感神経系のβ受容体に作用するβ受容体遮断薬である。眼圧下降作用機序の詳細は明らかではないが、主に房水産生の抑制によることが示唆されている。また、房水流出率の増加が関与するとの報告もある。
チモプトール点眼液は1日2回点眼の必要があったが、1日1回点眼での眼圧コントロールが患者の負担軽減につながるものとして、チモプトールXE点眼液が開発された。
チモプトール XE 点眼液のインタビューフォームを一部改変