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Incident何が起こったか?
ジプレキサ錠 10 mg の 7 錠を調剤しなければならないところ、誤ってジプレキサ錠 10 mg の 6 錠とジプレキサザイディス錠 10 mg の 1 錠を調剤してしまった。
Prescription処方内容は?
<処方1> 40 歳の男性。病院の精神科。オーダ/印字出力。
ジプレキサ錠 10 mg | 1 錠 | 1 日 1 回 | 就寝前 | 7 日分 |
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図.「ジプレキサ錠 10 mg」の PTP 包装の 6 錠(左)と「ジプレキサザイディス錠 10 mg」の PTP 包装の 1 錠(右)
<効能効果>
●ジプレキサ錠 2.5 mg・5 mg・10 mg、ザイディス錠 2.5 mg・5 mg・10 mg、細粒 1%
(オランザピン)
統合失調症
双極性障害における躁症状及びうつ症状の改善
抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)
Historyどのような経緯で起こったか?
調剤した薬剤師は、ジプレキサ錠 10 mg の棚から 7 錠を取り、輪ゴムで止めた。その際、6 錠は 10 錠シートから切り離し、1 錠は端数の中から取った。調剤後、自己鑑査を行ない、鑑査する薬剤師へ渡した。
鑑査した薬剤師は、ジプレキサ錠 10 mg の 6 錠にジプレキサザイディス錠 10 mg の 1 錠が止められていることを発見した。鑑査した薬剤師は調剤した薬剤師にそのことを知らせ、正しく調剤し直した。
Worst scenario最悪の事態
患者は自宅で誤調剤に気がつき、別薬と判断して服薬ノンコンプライアンスが起こり、治療効果が得られない。
Assessment問題点の解析は? 何が問題か?
ジプレキサ錠 10 mg とジプレキサザイディス錠 10 mg の棚は離れた場所にあるが、PTP シートの色がどちらも銀色、さらにデザインの色調も類似している(ラインや模様、医薬品名が紫色でかかれている)(図参照)。誰かが誤って調剤をした際に、棚に戻し間違えたと考えられる。
見た目が似ているため、調剤した薬剤師はその場で間違いに気がつかなかった。自己鑑査の際も、錠数と規格と薬剤名の確認はしたものの、端数(1 錠分)にかかれている「ザイディス(水色の文字)」は見落としてしまった。
Plan問題点回避の計画は? 確認ポイントは?
デザインが似ている薬剤は間違った棚に入っていたとしても気がつきにくい。正しい棚から取った薬剤でも、別の薬剤が混じっている場合もあるということを念頭に置き、注意する必要がある。
端数を組み合わせて調剤した場合は特に注意して、剤形・規格・薬剤名を確認する。
薬剤の戻し間違いを防ぐため、「医薬品戻し箱」を設置する。誤調剤された薬剤は全てその箱の中に入れ、後で 2 人組で確認しながら棚に戻すことを徹底する。
Watchword標語は?
・PTP シートの端数調剤は注意! 別物の可能性がある!
・薬剤の棚への戻しは「医薬品戻し箱」へ先ず入れる!
Special instruction特記事項は?
ザイディス錠とは
ザイディス錠は、口腔内崩壊錠(OD 錠)の一種である。ザイディスとは、口腔内崩壊錠の製剤技術の名前で、薬物を溶解あるいは分散させた液を PTP ポケットに充填した後、乾燥させ、シールを施して製造される。