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東大客員教授 澤田先生のリスマネ道場

RISK MANEGAMENT
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2019.02.25 UP
CASE30

《お薬手帳の不均等服用指示の印字もれ、患者に不安》

  • 処方チェック
  • 一般調剤
  • 服薬指導
  • その他

Incident何が起こったか?

患者が入院した病院の薬剤部から薬局へ、「1日3錠の分2の不均等ですが、患者が様々な飲み方をなさっているようです。朝1錠、夕2錠ですか。それとも朝2錠、夕1錠ですか。」との問い合わせがあった。

Prescription処方内容は?

<処方> 20 歳代の女性。A診療所の心療内科。

アナフラニール錠 25 mg 3錠 1日2回 朝夕食後(1-0-2) 14 日分

図.「アナフラニール錠 25 mg」の PTP シート(左)と錠剤(右)

(アルフレッサファーマ株式会社のウェブページより)

<効能効果>
●アナフラニール錠 10 mg・25 mg(クロミプラミン塩酸塩)
・精神科領域におけるうつ病・うつ状態
・遺尿症
・ナルコレプシーに伴う情動脱力発作

Historyどのような経緯で起こったか?

患者はB病院に入院した。患者が持参したお薬手帳には、次のように記載されていた。

B病院の薬剤師は、患者にアナフラニール錠の服用方法(朝、夕のそれぞれの服用錠数)を確認したが、あいまいでよく分からなかった。そこで、B病院の薬剤師は、当該薬を調剤した薬局に電話をかけて確認した。電話を受けた薬局は、朝1錠、夕2錠であることを伝えるとともに、お薬手帳の情報が不十分であったことを詫びた。

薬袋には「朝1錠、夕2錠」と記載していたが、患者はよく理解できず、「朝1錠、夕2錠」、「朝2錠、夕1錠」、「朝1錠、夕1錠」、「朝2錠、夕2錠」など、様々な飲み方をしていたと思われる。

Worst scenario最悪の事態

朝に2錠、夕に2錠服用して、起立性低血圧から転倒など

Assessment問題点の解析は? 何が問題か?

不均等な服用方法の指示が、お薬手帳に貼るシールに印字されなかった。また、薬剤師は、お薬手帳に不均等な服用方法の指示が記載されていないことに気づかず、交付してしまった。

Plan問題点回避の計画は? 確認ポイントは?

投薬時には、お薬手帳の印字内容に漏れがないか、患者に分かりにくい点がないかを注意深く確認する。不均等指示の印字に対応しているレセコンメーカーもある。対応できていない場合は、手書きで(朝1錠、夕2錠)のように書き添える必要がある。

投薬時には、患者がお薬手帳の記載内容を十分に理解しているかどうか、確認することも重要である。例えば、(朝1錠、夕2錠)ではなく、(1-2)や(1-0-2)や(1-0-2-0)のように印字されるケースもあるが、このように記載された場合の意味を患者がしっかり理解できているか確認する。

Communication服薬指導は?

『この薬は、朝と夕に服用しますが、服用錠数が違いますのでご注意ください。朝食後に1錠、夕食後に2錠服用してください。薬袋とお薬手帳に詳しく記載しておきますので、時々確認したり、分からなくなりましたら、ご覧ください。』

Special instruction標語は?

・用法用量の不均等処方は、薬袋、お薬手帳に明確に服用方法を記載!
・患者へは、不均等処方の飲み方を懇切丁寧に説明!

Special instruction特記事項は?

・(1-0-2)のように記載されている場合は、朝1錠、昼0錠、夕2錠を意味する。
・(1-0-2-0)のように記載されている場合は、朝1錠、昼0錠、夕2錠、寝る前0錠を意味する。

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