- 処方チェック
- 一般調剤
- 服薬指導
- その他
Incident何が起こったか?
ファスティック錠を最後の 1 週間のんでおらず、血糖値が上がったと患者からの訴えがあった。
Prescription処方内容は?
<処方1> 50 歳代の男性。病院の内科。オーダ/印字出力。
ファスティック錠 90 mg | 3 錠 | 1 日 3 回 | 毎食直前 | 30 日分 |
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オイグルコン錠 1.25 mg | 1 錠 | 1 日 1 回 | 朝食後 | 30 日分 |
図.「ファスティック錠 90 mg」の包装(左)と錠剤(右)。
(持田製薬株式会社ウェブサイトより)
<効能効果>
●ファスティック錠 90 mg(ナテグリニド)
2 型糖尿病における食後血糖推移の改善
ただし、下記のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限る。
1.食事療法・運動療法のみ
2.食事療法・運動療法に加えてα-グルコシダーゼ阻害剤を使用
3.食事療法・運動療法に加えてビグアナイド系薬剤を使用
4.食事療法・運動療法に加えてチアゾリジン系薬剤を使用
Historyどのような経緯で起こったか?
患者から「薬が一週間分、足りなかった。」と言われたので、前回調剤した処方せんと調剤録を確認したが、薬局側のミスはなかった。
そこで、事情を良く聞いてみると、残業で帰りが遅くなることが何度かあり、夜中に夜食を摂る際にもファスティック錠を服用していたため(結果的に 1 日に 4 回食事をとることになり、ファスティック錠を 1 日 4 回服用)、結局、薬が 1 週間分不足してしまった。
この顛末は、患者の了解を得て、医師に報告したが、特に指示はなかった。患者には、夜中の食事はできる限り炭水化物や脂肪食を避けるように伝えた。
Worst scenario最悪の事態
通常の回数を超えた服用で低血糖及び低血糖症状などがあらわれる。
Assessment問題点の解析は? 何が問題か?
薬剤師は、当該患者の食生活を把握していなかった。そのため、糖尿病の患者が 1 日に 3 回以上の食事をとることがあるなど思いもよらず、ファスティック錠が足りなくなるなど予測できなかった。
Plan問題点回避の計画は? 確認ポイントは?
特に糖尿病の患者に対しては、薬が正しく服用できているかのチェックだけでなく、適正に食事(朝・昼・夕)が摂れているかのチェックも行う必要がある。
本剤の用法用量は「通常、成人にはナテグリニドとして 1 回 90 mg を 1 日 3 回毎食直前に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら 1 回量を 120 mg まで増量することができる。」であり、これ以外の使用法では、治療効果が得られるかどうか、どのような副作用が惹起するかは不明である。従って、用法用量に従って使用することは必須である。
Communication服薬指導は?
『普段の食生活はどの様になっていますか? 朝・昼・夕はしっかり食べているのですね。ではきちんと、それぞれの食直前、即ち食事の 10 分前以内に服用してください。夜食などはどうですか? ・・・・・そうですか、夜中に夜食を摂るのですね。この薬は 1 日 3 回服用と決められているので、1 日に 4 回は飲めません。ですから、この機会に、糖尿病治療にも重要なので、思い切って夜食は控えるようにしたらどうでしょう?』
Special instruction特記事項は?
今回の事例とは全く逆であるが、患者に"食後服用"を強調し過ぎると、「食事を摂れなかった時には、薬を服用してはいけない。」と考える患者がいるので、注意が必要である。
症例:50 歳代の男性。「アムロジン OD 錠 2.5 mg 1 錠 1 日 1 回 朝食後」の処方を服薬している。サラリーマンで朝食が摂れない時がある。その場合、薬は服用できないと考え、全く服用していなかった(服用すると何か有害作用が起こると考えていた)。そのため、自宅残薬が多数あることが判明した。患者は、牛乳程度を飲用することはあるので、薬剤師は、牛乳でも大丈夫なので飲用後、きちんと薬を飲むように指導した。