- 処方チェック
- 一般調剤
- 服薬指導
- その他
Incident何が起こったか?
薬剤師は、ミオナール錠 50mg<エーザイ株式会社>とメチコバール錠 500μg<エーザ イ株式会社>の錠剤本体が良く似ていることに気づかなかったため、的確な服薬指導ができなかった。
Prescription処方内容は?
<処方1> 60 歳代の男性。病院の眼科。オーダ/印字出力。
ビタメジン配合カプセル B25 | 3 Cap | 1日3回 | 毎食後 | 28日分 |
---|---|---|---|---|
ミオナール錠 50mg | 3 錠 | 1日3回 | 毎食後 | 28日分 |
メチコバール錠 500μg | 3 錠 | 1日3回 | 毎食後 | 28日分 |
トルソプト点眼液 1% | 10 mL | 1日3回 | 1回1滴 | 両目に点眼 |
図.メチコバール錠 500μg の PTP シートと錠剤(ε322)(左)、ミオナール錠 50mg のPTP シートと錠剤(ε127)(右)。
<効能効果>
●ミオナール錠 50mg(エペリゾン塩酸塩)
・下記疾患による筋緊張状態の改善
頸肩腕症候群、肩関節周囲炎、腰痛症
・下記疾患による痙性麻痺
脳血管障害、痙性脊髄麻痺、頸部脊椎症、術後後遺症(脳・脊髄腫瘍を含む)、
外傷後遺症(脊髄損傷、頭部外傷)、筋萎縮性側索硬化症、脳性小児麻痺、
脊髄小脳変性症、脊髄血管障害、スモン(SMON)、その他の脳脊髄疾患
●メチコバール錠 500μg(メコバラミン)
末梢性神経障害
Historyどのような経緯で起こったか?
患者は緑内障、眼窩下垂の既往があり、視力がよくない。
ある時、患者から「両薬を手に載せたとき一瞬、同じものが 2 錠あると思ってしまう。
いつもシートから出し間違ったのではないかと不安になる。一包化して欲しい。」と要望された。ビタメジン配合カプセルはともかく、錠剤(ミオナール錠とメチコバール錠)はPTP シートから出すと、どちらがどちらかわからなくなるとのことであった。
薬剤師は、ミオナール錠 50mg は銀色の PTP シート、メチコバール錠 500μg は赤いPTP シートであることを知っていたので、患者の「錠剤の判別がつかない」との話を理解できなかった。
その後、患者の希望通りに一包化することになり、ミオナール錠とメチコバール錠をPTP シートから取り出すと、識別コードの印字色は異なっているが、錠剤の大きさ、マーク、印字の形状が同じで、両薬剤が全体的によく似ていることに気づき、薬剤師は驚いた。
両薬剤は非常によく似ていて、目の悪い患者にとってわかりにくいことを、薬剤師はこの時初めて認識した。
Worst scenario最悪の事態
同じPTPシートから間違って錠剤を出してしまっても錠剤の区別がつかず過量服用となる。
Assessment問題点の解析は? 何が問題か?
薬剤師は PTP シート表面の色の違いしか認識しておらず、錠剤自体の特徴を把握していなかった。そのために的確な服薬指導が実施できていなかった。
Plan問題点回避の計画は? 確認ポイントは?
錠剤の特性(錠剤本体の形・色、刻印の形・色、エンボス、薬名・規格単位などの印字など)を認識する。特に、同じメーカーの錠剤は印字、刻印などが類似していることが多いので注意が必要である。
当該患者においては、一包化調剤を行うか、どちらかの薬剤を錠剤の特徴が相違するジェネリック医薬品にして、区別できるようにする。
患者のトラブル(訴え、ニーズなど)は、どんな些細なことでも状況を確実に把握する。
Communication服薬指導は?
『ミオナール錠とメチコバール錠の PTP シートの色は大きく違いますが、錠剤を出すと似ていますね。同じシートから 2 度出してしまって、気がつかずに間違って服薬してしまう可能性もありますね。一包化して服薬間違いをなくす方法もありますが、どういたしましょうか?』
Special instruction特記事項は?
薬剤を別のジェネリック医薬品に変えた場合をシミュレーションしよう。メチコバール錠 500μg をメコバラミン錠 500μg「SW」に変えると下記に示すように、錠剤の大きさや色が相違しており、十分に区別可能となる。