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メディセレ薬局 現場からの声

AIと薬剤師(と薬剤師国家試験への学習)

 皆さん、こんにちは。去年の12月14日に、都島区薬剤師会と次世代の薬剤師を創る会
の共催で、薬学生と薬剤師のための勉強会を開催しました。勉強会は2講演あり、1つ目のお話がBUZZ MEDIA(株)代表取締役 今村雄飛様による「生成AIを使った論文の調べ方・作り方」でした。大変面白く、ためになるお話だったので、その一部を皆様と共有したいと思います。

 薬剤師にとって、日々更新される医療情報や最新の治療方法に関して学び続けることは大変重要なことです。しかし現実は、毎日の業務の中で新しい情報を吟味して向き合う時間を作ることは難しく、製薬会社のMRさんから提供される情報から、新たな学びを得ることも多いでしょう。これはこれで、これから市場で展開される医薬品に関して重要でタイムリーな学びとなるので大切なことですが、常日頃から気になっていること、例えば自分の担当する患者さんの個別の問題に関しては、外からちょうどいい情報が提供されることはまずありません。そこは自ら能動的に調べに行くしかないのです。
 ところが、この、ゼロから情報を探すというのがなかなか大変な作業です。数時間、じっくりと集中して取り組めるなら別ですが、薬局薬剤師の業務の性質上、なかなかそういう時間は取れず、網羅的な情報収集が難しいのではないでしょうか。そういう時に、AIを活用した情報検索が有用だと教えていただきました。膨大な時間が必要な、網羅的な情報収集と概要をまとめる部分をAIにやってもらいましょう、という内容でした。大変興味深く、なにより面白そうだったので、私は早速、紹介いただいたAIでいろいろ調べてみました。

 普段、どうなっているのだろう、という疑問をAI検索に入れてみたところ、ものの数分で、数十の情報源の内容のまとめを、文章とマインドマップで提示してくれました。それだけではなく、その内容から、次にどのような質問をしたらより学びが深くなるかという「質問の提案」もしてくれます。まるで、学会のシンポジウムで、誰かがちょうど知りたかった質問をしてくれて、それに対して演者が丁寧に答えてくれる、そんな場所にいるような、連続した学びが得られます。なるほど、なるほど、、、と何段階も深いところまで学びが進んでいく感じです。しかも、パソコンの前に一人で座っているだけなので、「こんな質問をして恥ずかしくないかな」とか「間違っていたらどうしよう」ということを気にする必要は全くありません(笑)。これはとても魅力的だなと思いました。感覚としては、色んなことをよく知っている人に、次から次に質問をしていくと、だいたい何でも答えてくれるという対話に似ています。もちろん、出てくる答えが100%すべて間違いない保証はありませんが、情報源のリンクをたどると、ほとんどが国内外の学術論文に繋がっているので、裏を取るのも簡単だなと感じました。もう少し、使い方を吟味する必要があると思いますが、臨床上の疑問を対話的に何段階か深めて、そのエビデンスとなりうる論文に簡単にたどり着けるのは、大きな魅力だと思います。

 次に、この生成AI検索を、薬剤師国家試験の勉強にどのぐらい使えるのだろうと実験をしてみました。国家試験の過去問をコピペで入れて解説を求めてみたところ、驚くことに、間違いのない答えと解説が瞬時に提供されました。すごいな、と思いつつ、その情報源を確認したところ、納得の種明かしがありました。薬剤師国家試験の過去問はネット上に問題といろいろな人が作った解説が公開されています。AIはその解説を情報源として解答解説を提案してきていたのです。
 それならばと、ネット上に解答解説が公開されていないMedisereのオリジナル問題を投入してみました。数問試してみたところ、いくつかの問題で正解と適切な解説が得られました。特に、症例問題における症例の分析と病状の評価は精度が高いと感じました。患者の状態を適切に分析して、薬を選んだりリスク評価をしたりする問題は得意なようです。一方で、近年の国家試験で出題の増えている、一つ前の問題で自身が選んだ解答を前提として更なる問題に取り組む連問形式のものは、首をかしげる結果を示す場合が散見され、まだまだ苦手なようでした。

 薬剤師の臨床上の疑問の解決にせよ、薬剤師国家試験の勉強の補助にせよ、AI検索は100%大丈夫とは言えないようですが、上手に活用をすることで私たちの様々な活動を支えてくれることは間違いないようです。

話は戻り、勉強会の2つ目の講演は私が「日常業務から生み出す薬剤師の研究活動」と題して、薬剤師がどのようにして日々の業務の中から研究となる題材を見つけ出し、研究して学会発表につなげていくのか、ということをお話させていただきました。現場の薬剤師が日常業務の中で研究活動したことが、生成AIの答えに繋がり、更なる医療の発展に貢献していくことでしょう。

メディセレ薬局 管理薬剤師

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