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メディセレ薬局 現場からの声

緊急避妊薬-アフターピル

 皆さん、こんにちは。今日は、緊急避妊薬-アフターピルのお話をしたいと思います。
 緊急避妊薬とは、避妊に失敗した時や性被害にあった時など、望まない妊娠を防ぐための薬です。早く服用するほうが効果が高く、24時間以内の服用では95%の妊娠阻止率が期待できるといわれており、その効果を十分に発揮するためには、性交から72時間以内に服用することが重要です。この医薬品は主に排卵を遅らせたり、着床を阻害すること等で受精の成立を防ぐため、持続的な避妊効果はありません。また、流産を引き起こす効果はありません。残念なことに、効果はすぐにはわからず、服用後に生理がくることが、妊娠をしなかったことの確認になります。ただし、不正出血や妊娠初期の出血の可能性もありますので、性交から3週間経過した時点で、産婦人科を受診することが勧められています。特に、生理が来なかった場合は、妊娠している可能性がありますので必ず受診するようにして下さい。

 現在、日本で認可されている緊急避妊薬は、基本的には医師の処方箋が必要なレボノルゲストレル錠のみです。緊急避妊薬の取り扱のある病院やクリニックで医師の診察を受けて、その場でレボノルゲストレル錠を受け取る方法と、オンライン診療に対応しているクリニックで診察を受けたのちに、緊急避妊薬の取り扱いのある薬局(メディセレ薬局も取り扱いがあります)で処方箋に基づいて調剤を受ける方法があります。後者の場合、処方箋はあらかじめオンラインクリニックから薬局にFAXで送信(原本は後日郵送)されますので、緊急避妊薬を必要とする方は、オンライン受信時に受け取りたい薬局を伝えておき、その後、薬局に行くことで緊急避妊薬を受け取ることができます(原則として、その場で服用します)。
 先日、この緊急避妊薬を処方箋なしで購入可能な薬局を、340店舗に拡大するという話題がニュースでも取り上げられました。本来処方箋が必要とされている医薬品を、必要とする方の利便性と迅速性を考慮して、薬局での直接販売を認めようという試みです。現在は試験的運用で、340店という数に関して現在も議論が続き、慎重に話が進められています。

 このような体制で取り扱われている緊急避妊薬ですが、皆さんは、このあり方についてどう感じられるでしょうか?以前の日本では、認可された緊急避妊薬もなく、一部の産婦人科で「適用外」として他の医薬品を流用する形で出されていました。そのころに比べると、正式に認可された医薬品が存在し、オンラインでの受診体制も整い、近くの薬局で受け取ることができる体制は、遥かによくなっているといえます。しかしながら、「どこでもいいよ」という状況ではありません。緊急避妊薬を取り扱っている産婦人科や、オンライン処方に対応しているクリニック、調剤できる薬局はどこにあるのでしょうか?厚生労働省HPには、緊急避妊薬への対応が可能な病院、クリニック、薬局のリストがすべて公開されているとはいえ、状況を冷静に分析して緊急避妊薬の必要性を判断し、対応可能な医療機関を調べて連絡を取り行動をするというのは、非常にハードルの高いことだといえます。また、不安を抱えた状況の中で、さまざまな困難に直面すると、人間は「多分大丈夫なんじゃないか」という正常性バイアスが働き、根拠のない楽観をしてしまいます。そういったことすべてを乗り越えて、緊急避妊薬を服用しなければならない現状は、まだまだアクセスが良いとは言えないと思います。
 もしかすると、緊急避妊薬を必要とする人の中には、どうしていいのかわからずに迷い悩んでいるうちに、72時間という期限が過ぎてしまう人がいるかもしれません。コンビニに行くように、とはいいませんが、目薬を買うように買えるようになり、必要なタイミングでアクセスできる薬局でありたいと思います。

メディセレ薬局 管理薬剤師

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