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メディセレ薬局 現場からの声

経口アトピー性皮膚炎治療薬について

皆さん、こんにちは!今回はアトピー性皮膚炎の最新治療薬についてです。
2020年12月25日、製造販売元より、経口ヤヌスキナーゼ (JAK)阻害剤「オルミエント錠4mg及び2mg」(一般名:バリシチニブ、以下「オルミエント」)について、既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎に対する治療薬として適応の承認を取得したことが発表されました。
それまでは関節リウマチの適応がありましたので追加承認ということになります。
アトピー性皮膚炎は、現在日本における患者数は51.3万人、その数は増加傾向にあり、世界でも成人の約1~3%がアトピー性皮膚炎に罹患しています。
アトピー性皮膚炎は免疫が関わっており、免疫細胞と炎症性サイトカインの複雑な相互作用が関与しています。
中等症から重症のアトピー性皮膚炎は強い痒みを特徴とし、明らかな皮膚損傷を引き起こし、重症度が高いほど生活の質(QOL)が低下することが分かっています。
アトピー性皮膚炎の既存の主な治療薬としましては、ステロイド(主に外用薬)、タクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)、抗アレルギー薬(主に抗ヒスタミン薬)、保湿外用薬、シクロスポリン内服療法、デュピルマブ(デュピクセント皮下注)、デルゴシチニブ(コレクチム軟膏)いったものが販売されていました。
それに対してオルミエントは、1日1回投与の日本初の経口JAK阻害剤で、アトピー性皮膚炎の病態形成に関わる代表的なサイトカインのシグナル伝達に関わるJAK1/JAK2を阻害することで、炎症を抑えます。
中等症から重症のアトピー性皮膚炎の成人患者さんを対象とした、国内外で行われた第Ⅲ相臨床試験(単剤、又は外用ステロイド薬との併用試験)によって、オルミエントのアトピー性皮膚炎に対する有効性及び安全性は確認されています。
JAK阻害薬といえば、2020年4月にデルゴシチニブ(コレクチム軟膏)が発売されていましたが、経口薬には感染症リスクの懸念があることから、開発が見送られていた経緯があるようです。
しかし、一部の患者では外用薬を中心とした治療では十分な効果を得られず、抗炎症薬の内服が必要になるものの、これまではシクロスポリンがあるだけでした。
デュピクセントは皮下注製剤ですし、注射による患者さんの負担が気になります。
ここに新たに経口JAK阻害薬が加わったというわけです。
副作用については免疫抑制作用があるため、確かに感染症リスクの増加は懸念されていましたが、治験では全身性の感染症の増加は認められなかったようです。
既存の全身治療薬であるシクロスポリンとデュピクセントとの使い分けに関しては、今後の知見を待つ必要がありますが、短期間(腎障害や高血圧などの副作用リスクを考慮して目安8~12週間)のシクロスポリンでは改善しない、もしくはシクロスポリン使用後に再燃する患者に対しては、デュピクセントもしくはオルミエントが選択肢になると思われます。
選択肢が増えることで、患者さんの望まれる、疾患による制限を受けない生活を実現できると考えられます。
将来現場に出て既存薬で治療が不十分な患者さんがおられましたら、医師と協議して検討してみてはいかがでしょうか?是非、参考にしてください。

メディセレ薬局 管理薬剤師 密原 将志

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