今回は爪白癬の治療薬についてお話したいと思います。いわゆる「爪水虫」です。「水虫」というと足趾間のジュクジュクした痒みという印象を持っている方が多いと思いますが、その病態は白癬菌という「カビ」の一種による皮膚の感染症で、一般的には足に生じた白癬菌感染(足白癬)を「水虫」と言います。あるとき白癬菌が爪に入り込む事があり、進行すると爪が「白く/黄色く濁る」「厚くなる」「巻き爪になる」「ぼろぼろになる」「白い線が入る」「はがれたようになる」といったような症状を呈するようになります。これが爪水虫(爪白癬)という状態です。
さて、それでは爪白癬の治療にはどのようなものがあるのでしょうか?根本的な治療にはまず飲み薬があり、しっかり内服出来れば効果は高いのですが、肝臓や腎臓といった内臓に悪影響を及ぼす事や他の飲み薬と飲み合わせが悪い事があるなど、血液検査を定期的に行う必要があり、もともと肝臓などが悪い方や他の病気でお薬を内服している方の中には薬を飲む事が出来ず、根本的な治療を諦めざるを得ない事もありました。代表的な飲み薬として、長年販売されている「イトリゾール(成分名:イトラコナゾール)」と「ラミシール(成分名:テルビナフィン)」、そして経口投与爪白癬治療剤として約20年ぶりに販売された「ネイリン(成分名:ラブコナゾール)」があります。しかし、近年は爪白癬専用の塗り薬が開発されて処方できるようになり、その効果は飲み薬に匹敵するものとなっています。代表的な薬として、「クレナフィン爪外用液10%(成分名:エフィコナゾール)」と「ルコナック爪外用液5%(成分名:ルリコナゾール)」があります。どちらもハケタイプで塗りやすく、1日1回症状がある爪全体に十分に塗布します。
ではどのくらい続ければよいでしょうか?爪白癬では、薬を使ったからといって、濁った爪の部分が元の透明な爪に戻るということはありません。薬が効いてくると、白癬菌におかされた爪の部分が爪の伸びに伴って先のほうへと押し出され、正常な爪におきかえられるのです。ですから、爪の濁りが先端部だけで済んでいる場合は治療期間も短くてすみますが、爪全体が濁っている場合はどうしても治療期間が長くなります。完全に生え替わるには目安6カ月~1年以上の時間が必要とされますが、個人差があります。服用終了時期については、経過をみながら医師が判断しますので、自己判断による治療の中断をしないことが大切です。薬剤師の皆さんはどの治療薬が処方されてもそれぞれの使用方法、注意事項を正しく理解して患者さんに適切なアドバイスを行えるよう準備しておきましょう!
メディセレ薬局 管理薬剤師 密原 将志
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