今回は慢性便秘症についてお話したいと思います。まずは慢性便秘症の「慢性」の診断基準はご存知でしょうか?それは「便秘症」が6ヶ月月以上前から症状があり、最近 3ヶ月間は「便秘症」診断基準を満たしている事とされています。(便秘症の診断基準は長くなりますので割愛しますね。慢性便秘症診療ガイドライン2017を参照してください。)以下が主な一覧となります。
1:「酸化マグネシウム」のような腸管内で水分泌を引き起こすことで排便回数を増加させる「浸透圧性下剤」。
*ポリエチレングリコールを成分とする「モビコール」もこの分野に含まれるかと思います。
2:「センノシド」のような大腸の神経叢に作用して腸管収縮を促進し腸管からの水分の吸収を抑制し排便を促す「刺激性下剤」。
3:「ルビプロストン(アミティーザ)」「リナクロチド(リンゼス)」「ナルデメジン(スインプロイク)」「エロビキシバット(グーフィス)」のような小腸での水分分泌を増加させ便秘症状を改善する近年便秘治療薬として承認された薬剤。
*「ナルデメジン」は麻薬系鎮痛剤の副作用である便秘に有効。
4:その他、漢方薬(大黄、甘草、山椒、芍薬などが含有)や「ポリカルボフィルカルシウム」のような「膨張性下剤」。
この中で「モビコール」は水などのような飲料に溶かして服用する薬である事から薬局でも服薬指導で伝えなければならない事が多くあります。味は塩化ナトリウムが入っている事から塩味が強いです。それもあり、メーカーが推奨しているように「リンゴジュース」と混ぜると一番飲みやすいのではないでしょうか? 慢性便秘症は、健常人と比較して有意にQOLを低下させるという報告もありますが、比較的予後は良く内科的に治療可能な場合が多い疾患です。そのような背景から近年、慢性便秘症に対する治療薬が増加しています。たかが便秘といって軽視せず、薬剤師が最新の便秘治療を理解し適切な服薬指導、処方提案を行える事が望まれています。
メディセレ薬局 管理薬剤師 密原 将志
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