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2019.12.25 UP
CASE43

《眼・耳科用リンデロン A 軟膏で耳が聞こえなくなる!?》

  • 処方チェック
  • 一般調剤
  • 服薬指導
  • その他

Incident何が起こったか?

患者は、眼・耳科用リンデロン A 軟膏の薬情に記載された「耳が聞こえなくなることがあります。」を見て使用を中止してしまった。

Prescription処方内容は?

<処方1> 70 歳代の女性。病院の内科。オーダ/印字出力。

眼・耳科用リンデロン
A 軟膏
5 g 眼と耳朶に塗布

図.「眼・耳科用リンデロン A 軟膏」のチューブ包装。

<効能効果>
●眼・耳科用リンデロン A 軟膏
(ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム・フラジオマイシン硫酸塩)
・適応菌種
フラジオマイシン感性菌
・適応症
[眼科]外眼部・前眼部の細菌感染を伴う炎症性疾患
[耳鼻科]外耳の湿疹・皮膚炎、進行性壊疽性鼻炎、耳鼻咽喉科領域における術後処置

Historyどのような経緯で起こったか?

患者は、眼・耳科用リンデロン A 軟膏を眼周囲と耳朶に使用しており、効果には満足していたが、薬情に「耳が聞こえなくなることがあります。」と記載されているのに気づき、数日にわたり継続して塗布することに躊躇していた。そして、不安になった患者は、医師に相談した。
相談を受けた医師から薬局へ電話があり、どう言う意味で「耳が聞こえなくなることがある。」と記載しているのか説明して欲しいとクレームがあった。
そこで、添付文書の重要な基本的注意欄、重大な副作用欄に「非可逆性の難聴があらわれることがある。」との記載があり、メーカーの薬情をそのまま使用しているため不適切な表現になっていることを説明し、謝罪した。さらに、患者に対しても誤解をさせたことを謝罪した。

Worst scenario最悪の事態

軟膏の使用中止により、耳朶の湿疹・皮膚炎が悪化する。

Assessment問題点の解析は? 何が問題か?

この文章は、成分(フラジオマイシン硫酸塩)に対する注意点であったが、レセコンに入っている薬情をそのまま使用したために、患者に不安を与えてしまった。今回は、軟膏の使用部位が耳朶であったために、耳関係の注意に対して患者は強い不安を感じてしまった可能性がある。
本剤の適応部位は、「外耳の湿疹・皮膚炎、進行性壊疽性鼻炎、耳鼻咽喉科領域」であり、不可逆的な難聴として耳が聞こえにくいことが起こる可能性があるが、当該患者の疾患部位は耳朶であり、本副作用が起こる可能性は低い。

Plan問題点回避の計画は? 確認ポイントは?

薬情の「気をつけてほしいこと」という項目の「耳が聞こえなくなることがある」という文章を削除した。
レセコンメーカーが作成した文章は、実際の臨床にそぐわない場合もあるので、文章の内容を随時確認する必要がある。

Watchword標語は?

・薬情の記載が患者に不安を与える様になっていないかどうかチェック!
・レセコンメーカー作成の情報内容をそのまま使用しない!

Special instruction特記事項は?

「眼・耳科用リンデロン A 軟膏」による聴覚器障害について添付文書、インタビューフォームの記載は以下である。

●重要な基本的注意
非可逆性の難聴があらわれることがあるので、次の諸点に留意すること。1) 本剤の使用に際しては適応症、起炎菌の感受性等を十分考慮すること。2) 長期間連用しないこと。3) 本剤使用中は特に聴力の変動に注意すること。
アミノグリコシド系抗生物質による内耳障害は蝸牛内のコルチ器にある音の受容細胞である内外有毛細胞とその一次神経線維である蝸牛神経に障害を生じ、不可逆性の障害を残す。臨床像は薬剤により多少の違いはあるが共通してみられることは高音域から始まる感音性難聴である。初診時の主訴は耳鳴りであることが多い。投与量、期間と難聴発現については一定の関係はないが慢性中耳炎では 2 週間ほど連日点耳し、再投与の必要があればその後しばらく休みの期間が必要である。
●重大な副作用
神経系(フラジオマイシン硫酸塩による)
難聴(0.1%未満):非可逆性の難聴があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止すること。
(眼・字科用リンデロン A 軟膏のインタビューフォーム、
2013 年 3 月改訂(改訂第 8 版)、塩野義製薬)

「眼・耳科用リンデロン A 軟膏」の「くすりのしおり」の副作用欄には以下が書かれている。

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この薬を使ったあと気をつけていただくこと(副作用)
主な副作用として、眼瞼炎、結膜炎、刺激感、接触性皮膚炎などが報告されています。
このような症状に気づいたら、担当の医師または薬剤師に相談してください。

まれに下記のような症状があらわれ、[ ]内に示した副作用の初期症状である可能性があります。このような場合には、使用をやめて、すぐに医師の診療を受けてください。
・耳が聞こえにくい、耳鳴り、耳が詰まる感じ、めまい[非可逆性の難聴]
・(連用したとき)吐き気、目の痛み、視力の低下、頭痛[緑内障]
・まぶしい、涙がでる、目の異物感[角膜ヘルペス、角膜真菌症、緑膿菌感染症の誘発]
・(角膜ヘルペス、角膜潰瘍または外傷などに使用したとき)目のかすみ、涙がでる、まぶしい[穿孔]
・(長期に使用したとき)目のかすみ、まぶしい、視力の低下[後嚢白内障]

以上の副作用はすべてを記載したものではありません。上記以外でも気になる症状が出た場合は、医師または薬剤師に相談してください。
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http://www.rad-ar.or.jp/siori/index.html

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