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東大客員教授 澤田先生のリスマネ道場

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2019.06.19 UP
CASE37

《A 医院では必ず後発品! デパス錠の後発品を誤調剤》

  • 処方チェック
  • 一般調剤
  • 服薬指導
  • その他

Incident何が起こったか?

デパス錠 0.5 mg のところを、誤ってデパス錠の後発品である『エチゾラム錠 0.5 mg「日医工」』で調剤し、投薬してしまった。

Prescription処方内容は?

<処方1> 60 歳代の女性。A 医院(心療内科)。オーダ/印字出力。

ジェイゾロフト錠
25 mg
2 錠 1 日 2 回 朝夕食後 28 日分
グッドミン錠
0.25 mg
1 錠 1 日 1 回 夕食後 28 日分
デパス錠
0.5 mg
1 錠 1 日 1 回 夕食後 28 日分
*グッドミン錠 0.25 mg:レンドルミン錠 0.25 mg の後発品

図.『デパス錠 0.5 mg』(左)と『エチゾラム錠 0.5 mg「日医工」』(右)の包装(上)と錠剤(下)。

<効能効果>
●デパス錠 0.25 mg・0.5 mg・1 mg、細粒 1%(エチゾラム)
●エチゾラム錠 0.25 mg・0.5 mg・1 mg「日医工」(エチゾラム)
・神経症における不安・緊張・抑うつ・神経衰弱症状・睡眠障害
・うつ病における不安・緊張・睡眠障害
・心身症(高血圧症、胃・十二指腸潰瘍)における身体症候ならびに不安・緊張・抑うつ・睡眠障害
・統合失調症における睡眠障害
・下記疾患における不安・緊張・抑うつおよび筋緊張
 頸椎症、腰痛症、筋収縮性頭痛

Historyどのような経緯で起こったか?

当薬局では、主に心療内科の A 医院と内科の B 医院の処方せんを受けており、エチゾラムとして A 医院では後発品のエチゾラム錠「日医工」、B 医院では先発品のデパス錠が処方されている。しかし、A 医院では患者の希望(今までデパス錠を服用しており変更したくない患者など)で 3 人ほどデパス錠を処方されていた。
当該患者は、その 3 人のうちの 1 人で、デパス錠を処方されていたが、午前中忙しい時間帯だったこともあり、確認を怠ってしまい、デパス錠の後発品であるエチゾラム錠 0.5 mg「日医工」で調剤し投薬してしまった。
調剤および監査に関わったのが新人薬剤師とその店舗に所属したばかりの薬剤師だったこともあり、二重監査をしていたが、調剤者・監査者ともにミスに気付かなかった。
その日の午後、薬歴を作成中に間違いに気付き、連絡および謝罪をし、患者宅に交換に行った。患者は、先発品と後発品の包装が類似しており(図参照)、誤調剤があったことを全く認識していなかった。なお、幸いなことに、服用前であった。

Worst scenario最悪の事態

患者は暫くして誤調剤に気がつき、別薬と判断して服薬ノンコンプライアンスが起こり、治療効果が得られない。

Assessment問題点の解析は? 何が問題か?

関わった薬剤師は、エチゾラム錠「日医工」がデパスの後発品であると理解していたが、心療内科ではいつもエチゾラム錠「日医工」が処方されるため、思い込みがあった。午前中の忙しい時間帯だったため、確認が疎かになった。
薬局において、新人や配属直後の不慣れな薬剤師に対して注意喚起が徹底できるシステムがとられていなかった。例えば、薬剤の規格には注意を払っていたが、A 医院のこの 3 名に関して、「この患者は、デパス錠で調剤すること!」などの記載を薬歴、レセコン上に記載しておくなどの注意喚起を行っていなかった。

Plan問題点回避の計画は? 確認ポイントは?

投薬する際、薬剤・処方せんの確認を徹底する。
薬剤師の異動などで新しいメンバーになった際には、数名の患者しか処方されない薬剤には、薬歴に色付きのマーカーでチェックをし、レセコンにはコメントを入れるように改善するなど、注意喚起の工夫が必要である。

Watchword標語は?

・投薬前、調剤薬と処方せんの照合!
・新人・配属直後の不慣れな薬剤師へ注意喚起!
 「先発希望」を薬歴に色付きのマーク!
 「先発希望」をレセコンにはコメント!

Special instruction特記事項は?

一部の患者だけ先発品(あるいは後発品)である場合の思い込みの他に、一部の患者だけ規格単位が異なる場合にも同様の思い込みは起こりやすい。そのようなケースの類例を以下に示す。

事例:70 歳代の女性患者。トリプタノール錠 25 mg のところ、間違えてトリプタノール錠 10 mg で調剤した。監査時に発見する。門前施設の医師は、一般的にトリプタノール錠 10 mg を処方するが、この患者 1 名だけトリプタノール錠 25 mg が処方されている。いつもの癖で 10 mg 錠を調剤してしまった。

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