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2019.02.25 UP
CASE18

リーバクトからアミノレバン EN に変更、2 剤同時に服用すると勘違い

  • 処方チェック
  • 一般調剤
  • 服薬指導
  • その他

Incident何が起こったか?

リーバクト配合顆粒からアミノレバン EN 配合散への処方変更に対して、患者は処方追加と自己判断して 2 剤同時に服用すると勘違いしていた。

Prescription処方内容は?

<処方1>
60 歳代の女性。内科クリニック(A 病院からの引き継ぎ)
オーダ/印字出力。10/15

リーバクト配合顆粒 3包 1 日 3 回 毎食後 35 日分 他 2 剤

<処方2>
10/26。A 病院。オーダ/印字出力。

アミノレバン EN 配合散 100g 1 日 2 回 朝夕食後 35 日分
*内科クリニックを受診してから 11 日目の受診である。医師の処方意図はリーバクト配合顆粒からの切り替えであり、本来はリーバクト配合顆粒が自宅残薬となる。

図1.「リーバクト配合顆粒」の包装(左)と製剤(右)

図2.「アミノレバン EN 配合散」の包装(左)と製剤(右)

<効能効果>
●リーバクト配合顆粒(イソロイシン・ロイシン・バリン)
  食事摂取量が十分にもかかわらず低アルブミン血症を呈する非代償性肝硬変患者の低アルブミン血症の改善
●アミノレバン EN 配合散(芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、チロシン)を制限し、分岐鎖アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)を多く含有)
  肝性脳症を伴う慢性肝不全患者の栄養状態の改善

Historyどのような経緯で起こったか?

患者は A 病院で肝機能不全と診断され、その後は内科クリニックで<処方1>のリーバクト配合顆粒(分子鎖アミノ酸を含有している)を服用中であった。経過観察のため A 病院を定期受診後、食事量の低下を懸念した主治医が一旦リーバクト配合顆粒を中止し、<処方2>のアミノレバン EN 配合散(アミノ酸に加えて糖質、蛋白質、脂質、ビタミン、ミネラル及び微量元素をも含有している)に変更した。しかし、患者は<処方2>が追加であり、2 剤を同時に服用すると勘違いしていた。
患者は 2 剤を併用していたが、知り合いの看護師から 2 剤を同時に使用するのはおかしいとの指摘を受けたため、不安になり来局した(11/2)。患者の食事量は治療前と変化なく十分量となっていたため、A 病院に問い合わせたところ、アミノレバン EN 配合散を中止して、リーバクト配合顆粒の継続が指示されたため、その旨を患者に説明し、患者は納得した。

Worst scenario最悪の事態

両剤に共通する副作用(下痢、腹部膨満感、吐き気・嘔吐、食欲不振、腹痛など)が発現する。

Assessment問題点の解析は? 何が問題か?

薬剤師は、患者からアミノレバン EN 配合散へ変更になった理由(食事量の低下)を聞いたため、患者が変更に関して正しく認識していると思い込み(患者は追加と思い込んでいる)、投薬時に患者には確認をとらなかった。また、アミノレバン EN 配合散の使用方法についての説明に意識が集中し、既存薬との併用について注意が甘くなった。

Plan問題点回避の計画は? 確認ポイントは?

同効薬が近い時期に処方された場合には、同時に使用するのか、切り替え処方なのかについて、細心の注意を払う。
服薬指導において、患者からの情報は大変重要なものであるが、それを鵜呑みにするのではなく、少しでも疑問を抱いた際は必ず医師へ疑義照会を行い、解決した上で投薬することが必要である。

Communication服薬指導は?

『これまではリーバクト配合顆粒が処方されていましたが、今回はアミノレバン EN 配合散が処方されていますね。医師からお聞きになっていますか? 食事量が低下したので追加ということですね。追加で併用なのか変更なのか、少し気になるところがありますので、医師に確認したいと思います。・・・・・疑義照会後・・・・・今回はリーバクト配合顆粒からアミノレバン EN 配合散へ変更ということですので、リーバクト配合顆粒を一旦中止して、アミノレバン EN 配合散を服用するようにしてください。』

Watchword標語は?

・同効薬の同時期処方は併用なのか、切替なのかチェック!
・少しでも疑義があれば医師に照会して解決してから調剤!

Special instruction特記事項は?

処方の切り替えでなく、実は追加処方であったという本事例とは逆の事例がある。

事例:50 歳代の女性。フォスブロック錠 250 mg を 1 日 15 錠で服用中。今回、カルタン錠 500 mg が 1 日 3 錠で追加となっていた。しかし、患者本人は医師より薬の切り替えと聞いたという。リン値が 7.1 と高値のため切り替えに疑問を持って医師に確認したところ、切り替えではなく追加服用とのこと。患者は、医師の説明をよく理解していなかった。おそらく、たくさんの薬を飲みたくない気持ちがあったと思われる。

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